ふりかえりと分かち合い
「ふりかえり」とは、「分かち合い」とは、何でしょうか。
「ふりかえり」とは「内省」のことです。
「分かち合い」とは「共有」のことです。
「ふりかえり」をすると、どうなるのでしょうか。
自身の成長に繋がります。
上手くできたことをふりかえれると・・・
成功に必要なことがわかったり、成功した経験が自身に繋がります。
失敗や問題をふりかえれると・・・
同じ失敗をしないための対策を立てることができます。
では、自己紹介を「ふりかえり」すると、どうなるでしょうか?
- 自己紹介する前は、他の人は何を聞きたいか分からない、他の人も私の何を聞きたいか分からない、という状態でしょう。
- 次に、自己紹介をすることによって、自分に関することのうち、自分の話したいことを話すことができる状態になります。
- この状態の時に、「自分自身の行為に対する問い」を考えることを通じて「ふりかえり」を実施してみましょう。「自分自身の行為に対する問い」とは、具体的には「自己紹介をやってみて良かった点、困った点」のような問いのことです。
- 「ふりかえり」の実施によって、気付いたこと、感じたことを言語化できるようになります。 例、自分が「できた」とか「良かった」と思った点を言語化できる。 例、自分が「できなかった」とか「上手くいかなかった」と思った点を言語化できる。
- 言語化することにより、記憶に定着しやすくなります。
- 記憶に定着するので、「良かった点をもっと良くする」、「困った点を改善する」という意識が自然と働き、より良い自己紹介ができるようになります。
自己紹介を例に「ふりかえり」をしましたが、「ふりかえり」は自己紹介に特化したものではありません。様々なことの改善に役立ちます。
「分かち合い」をすると、どうなるのでしょうか。
学習速度が数倍になります。
他の人「ふりかえり」を聞くことによって、自分と同じ意見と、自分と違う意見を見つけることができます。
同じ意見を聞くと・・・
共感し、「私とあなたは同じ人間」と思えます。
違う意見を聞くと・・・
「そういう見方があったか!」
思考の枠が外れます。(これを「リフレーミング」と言います。) 自分だけの「ふりかえり」では気付かなかったことを言語化できます。
「逆に考える人がいるんだ!」
色んな人がいるんだということ、色んな人がいていいんだということ(ダイバーシティ、多様性)を実感できます。
「ふりかえり」で使用する「ふりかえりシート」というものがいくつかあります。
効率良く、気軽に使えるものもあります。
どんなふりかえりシートがあるのか、見てみましょう。
ふりかえりシートとは
ふりかえり(内省)のときに使用するシートのことです。
シートには「問い」があり、何をふりかえれば良いのか、分かるようになっています。
ふりかえりシートいろいろ
「設問シート」、「KPT シート」、「YWT シート」を紹介します。
設問シート
何を問いにするかが大事です。(講師の腕の見せ所です。)
予め問いを用意する場合と、その場を見て(参加者の表情などを見て)問いを決める場合があります。
以下、設問の例です。
例、どんな気付き、学びがありましたか。
例、どんな変化がありましたか。
例、今回の内容を踏まえて、明日から何を始めますか。(やめますか。)
KPTシート
KPTは「けぷと」、または、「けーぴーてぃー」と読み、Keep,Problem,Tryの頭文字をとった言葉です。
KPTシートとは、定型化したふりかえりシートです。設問は、K(続けたいこと)、P(問題点)、T(次に挑戦すること)の3つです。 「KPTをやる」とは、このシートを使用してふりかえりをすることを指します。
| K(続けたいこと) | T(次に挑戦すること) |
| P(問題点) |
図. KPT シート
KPTをやるときのコツは、「KPT」の順番でやることです。 最初に「K(続けたいこと)」を出します。次に「P(問題点)」を出し、最後に「T(次に挑戦すること)」を出します。
Tを出すとき、ついついPばかりに目を向けがちですが、Kからも出すようにしてください。 KからTを出すことが難しいようであれば、「これをやって良かったから続けたいけど、もっと良くしたい!」という感じに考えてみてはいかがでしょうか。
KとPが、合わせて20個も30個もある場合は、その全てに対してTを出す必要はありません。 「パレートの法則」に従い、重要度を考えて、重要なものベスト5についてTを出す、というやり方もあります。
コラム 「パレートの法則」
「パレートの法則」は、別名「20:80の法則」とか、「2:8の法則」とも呼ばれています。
こんな話を聞いたことがありませんか。働きアリの中で本当に働いているのは、働きアリ全体の2割だけで、他の8割は働いていない、 という話を。そして、働いている2割のアリによって、全体の8割のエサが集められている、という話を。 アリだけでなく、ミツバチにも同じことが言えるのだそうです。
他にも、お金持ち上位2割がその国全体の資産の8割を有しているとか、ある会社は成績上位2割の営業マンが会社全体の8割の売り上げを占めているとか。
この「パレートの法則」という名の経験則により、KPTで出た意見のうち上位2割を押さえれば、全体の8割が改善することになる、と言えそうです。
KPTのKとPがたくさん出た場合は、より重要そうな上位2割について、Tを考えてみてください。
YWTシート
YWTは、「わいだぶるてぃー」と読みます。
YWTシートとは、定型化したふりかえりシートです。設問は、Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)の3つです。「YWTをやる」とは、このシートを使用してふりかえりをすることを指します。
| Y(やったこと) | T(次にやること) |
| W(分かったこと) |
図. YWTシート
YWTはKPTと大変似ています。YWTとKPTの共通点と違いを押さえながら、YWTとはどのようなものなのか、見てみましょう。
KPTとの共通点
定型化したふりかえりシートです。シートのフォーマットも同じです。
KPTとの違い
KPT
設問は、K(続けたいこと)、P(問題点)、T(次に挑戦すること)。
チーム全体のことは出しやすい。
ネガティブな意見も出しやすい。
後ろ向きになることがある。
YWT
設問は、Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)。
チーム全体のことは出しにくい。
ネガティブな意見は出しにくい。
後ろ向きになりにくい。
個人的な意見や感想、ポジティブな意見や感想をより求めたい場合は、YWTがより良いと思います。
チームとして、次は何に挑戦したいか、どっちへ進むのか、という意見をより求めたい場合は、KPTがより良いと思います。
次は、理解度チェックです。
このページでの理解度を確認しましょう。
理解度チェック
項目1:「KPT」、「YWT」とは、何の略が説明できるか?
項目2:「KPT」、「YWT」はそれぞれどのようは場合に使用すると効果的か説明できるか?
「自己紹介」で自分のことと相手のことが分かりました。
「ふりかえり」と「分かち合い」で、より良い自己紹介ができるようになりました。
次は「チーム」について考えてみましょう。