ふりかえりと分かち合い

「ふりかえり」とは、「分かち合い」とは、何でしょうか。

「ふりかえり」とは「内省」のことです。

「分かち合い」とは「共有」のことです。

「ふりかえり」をすると、どうなるのでしょうか。

自身の成長に繋がります。

上手くできたことをふりかえれると・・・

成功に必要なことがわかったり、成功した経験が自身に繋がります。

失敗や問題をふりかえれると・・・

同じ失敗をしないための対策を立てることができます。

では、自己紹介を「ふりかえり」すると、どうなるでしょうか?

  1. 自己紹介する前は、他の人は何を聞きたいか分からない、他の人も私の何を聞きたいか分からない、という状態でしょう。
  2. 次に、自己紹介をすることによって、自分に関することのうち、自分の話したいことを話すことができる状態になります。
  3. この状態の時に、「自分自身の行為に対する問い」を考えることを通じて「ふりかえり」を実施してみましょう。「自分自身の行為に対する問い」とは、具体的には「自己紹介をやってみて良かった点、困った点」のような問いのことです。
  4. 「ふりかえり」の実施によって、気付いたこと、感じたことを言語化できるようになります。 例、自分が「できた」とか「良かった」と思った点を言語化できる。 例、自分が「できなかった」とか「上手くいかなかった」と思った点を言語化できる。
  5. 言語化することにより、記憶に定着しやすくなります。
  6. 記憶に定着するので、「良かった点をもっと良くする」、「困った点を改善する」という意識が自然と働き、より良い自己紹介ができるようになります。

自己紹介を例に「ふりかえり」をしましたが、「ふりかえり」は自己紹介に特化したものではありません。様々なことの改善に役立ちます。

「分かち合い」をすると、どうなるのでしょうか。

学習速度が数倍になります。

他の人「ふりかえり」を聞くことによって、自分と同じ意見と、自分と違う意見を見つけることができます。

同じ意見を聞くと・・・

共感し、「私とあなたは同じ人間」と思えます。

違う意見を聞くと・・・

「そういう見方があったか!」

思考の枠が外れます。(これを「リフレーミング」と言います。) 自分だけの「ふりかえり」では気付かなかったことを言語化できます。

「逆に考える人がいるんだ!」

色んな人がいるんだということ、色んな人がいていいんだということ(ダイバーシティ、多様性)を実感できます。

「ふりかえり」で使用する「ふりかえりシート」というものがいくつかあります。
効率良く、気軽に使えるものもあります。
どんなふりかえりシートがあるのか、見てみましょう。

ふりかえりシートとは

ふりかえり(内省)のときに使用するシートのことです。

シートには「問い」があり、何をふりかえれば良いのか、分かるようになっています。

ふりかえりシートいろいろ

「設問シート」、「KPT シート」、「YWT シート」を紹介します。

設問シート

何を問いにするかが大事です。(講師の腕の見せ所です。)

予め問いを用意する場合と、その場を見て(参加者の表情などを見て)問いを決める場合があります。

以下、設問の例です。

例、どんな気付き、学びがありましたか。

例、どんな変化がありましたか。

例、今回の内容を踏まえて、明日から何を始めますか。(やめますか。)

KPTシート

KPTは「けぷと」、または、「けーぴーてぃー」と読み、Keep,Problem,Tryの頭文字をとった言葉です。

KPTシートとは、定型化したふりかえりシートです。設問は、K(続けたいこと)、P(問題点)、T(次に挑戦すること)の3つです。 「KPTをやる」とは、このシートを使用してふりかえりをすることを指します。

K(続けたいこと)




T(次に挑戦すること)

P(問題点)




図. KPT シート

KPTをやるときのコツは、「KPT」の順番でやることです。 最初に「K(続けたいこと)」を出します。次に「P(問題点)」を出し、最後に「T(次に挑戦すること)」を出します。

Tを出すとき、ついついPばかりに目を向けがちですが、Kからも出すようにしてください。 KからTを出すことが難しいようであれば、「これをやって良かったから続けたいけど、もっと良くしたい!」という感じに考えてみてはいかがでしょうか。

KとPが、合わせて20個も30個もある場合は、その全てに対してTを出す必要はありません。 「パレートの法則」に従い、重要度を考えて、重要なものベスト5についてTを出す、というやり方もあります。

コラム 「パレートの法則」


「パレートの法則」は、別名「20:80の法則」とか、「2:8の法則」とも呼ばれています。

こんな話を聞いたことがありませんか。働きアリの中で本当に働いているのは、働きアリ全体の2割だけで、他の8割は働いていない、 という話を。そして、働いている2割のアリによって、全体の8割のエサが集められている、という話を。 アリだけでなく、ミツバチにも同じことが言えるのだそうです。

他にも、お金持ち上位2割がその国全体の資産の8割を有しているとか、ある会社は成績上位2割の営業マンが会社全体の8割の売り上げを占めているとか。

この「パレートの法則」という名の経験則により、KPTで出た意見のうち上位2割を押さえれば、全体の8割が改善することになる、と言えそうです。

KPTのKとPがたくさん出た場合は、より重要そうな上位2割について、Tを考えてみてください。

YWTシート

YWTは、「わいだぶるてぃー」と読みます。

YWTシートとは、定型化したふりかえりシートです。設問は、Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)の3つです。「YWTをやる」とは、このシートを使用してふりかえりをすることを指します。

Y(やったこと)




T(次にやること)

W(分かったこと)




図. YWTシート

YWTはKPTと大変似ています。YWTとKPTの共通点と違いを押さえながら、YWTとはどのようなものなのか、見てみましょう。

KPTとの共通点

定型化したふりかえりシートです。シートのフォーマットも同じです。

KPTとの違い

KPT

設問は、K(続けたいこと)、P(問題点)、T(次に挑戦すること)。
  チーム全体のことは出しやすい。
  ネガティブな意見も出しやすい。
  後ろ向きになることがある。

YWT

設問は、Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)。
  チーム全体のことは出しにくい。
  ネガティブな意見は出しにくい。
  後ろ向きになりにくい。

個人的な意見や感想、ポジティブな意見や感想をより求めたい場合は、YWTがより良いと思います。

チームとして、次は何に挑戦したいか、どっちへ進むのか、という意見をより求めたい場合は、KPTがより良いと思います。

次は、理解度チェックです。
このページでの理解度を確認しましょう。

理解度チェック

項目1:「KPT」、「YWT」とは、何の略が説明できるか?

項目2:「KPT」、「YWT」はそれぞれどのようは場合に使用すると効果的か説明できるか?

「自己紹介」で自分のことと相手のことが分かりました。
「ふりかえり」と「分かち合い」で、より良い自己紹介ができるようになりました。
次は「チーム」について考えてみましょう。